タミヤ 32592 アメリカ M1A2 エイブラムス戦車


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TAMIYA 32592 Main Battle Tank M1A2 Abrams

 

 ・解説

2017年発売。1/48ミリタリーミニチュア待望の現用戦車第2段として投入されたド定番戦車。1/48のプラキットとしては初のキット化。

仕様、マーキング共に2003年のイラク戦争時になっており、砲塔バスケットのAPUやCIPパネルが再現されている。

 

 ・構成

ランナー5枚にデカールと金属の重りが付属。この世代は既にダイキャストシャーシを辞めプラスチック箱組みなので、工程や道具は通常のプラモデルと変わらない。

履帯は部分連結式のT158。砲身は貼り合わせだが精度が抜群なので合わせ目は目立たない。

砲塔下部、車体全面、リアパネル付近にも合わせ目が出るが上手く流し込みで処理すれば埋めるのは簡単だろう。

車体と砲塔上部の滑り止め表現も適切になされており、ストレートに組んでも全く問題ないだろう。

マーキングはイラク戦争時が2種

 

 ・総評

とにかく精度が良く負担の少ない設計になっているので組み立てるのは非常にラク

欠点としてはペリスコープ表現がデカール再現になっており、ガイドの無い平面に微細なデカールを貼り付けねばならず、再現性が悪く手間もかかってしまう。凹みが無いので塗料を流し込む事も出来ず、デカール以外の表現も手間が必要だろう。

そこを除けば、ビギナーや他ジャンルのモデラーにも勧められるほどにキットとしての完成度は高い。

欲を言えばイラク戦争以外のバージョンや社外のデカールなどが出てくれれば良いなと思う。せっかくイージーで安価なキットなのだから沢山作りたいじゃないですか。

 

 

タミヤイタレリ 37025 イギリス巡航戦車 クルセーダーMk.III


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Tamiya/Italeri 37025 British Cruiser Tank Mk.VI Crusader Mk.III

 

 ・解説

2017年発売。1976年発売のイタレリ製品に改修と追加パーツを加えてタミヤから発売したもの。

ガルパン登場以降、流通在庫のクルセイダーが枯渇しプレミア化する事態となった折にタミヤから発売された救済製品である。

現在はボーダーモデルより新金型が発売されたが、それ以前の約40年唯一の1/35キットだった。

古いキットではあるが、イタレリ全盛期のキットなので設計のセンスが良く過去の問題点も改修されているため雰囲気は良くストレートに組み上げる上ではあまり苦労もしない。

タミヤ箱になるにあたって以前から指摘されていたフロントフェンダーや砲塔ライトなどの欠点が改修され、手間がかなり減っているのは大きなポイントである。

最大の弱点は軟質のベルトキャタピラで、焼き止めではなく瞬着が使えるなどイタレリ箱よりは扱いやすくなっているが長さが相当余るためカットせずに巻くとダルンダルンになってしまう。サイドスカートで隠してしまえる仕様なら良いが付けない場合は転輪にベタ付けするほうが良いかもしれない。

 

 ・構成

バスタブシャーシにダークイエローのランナーが3枚と軟質ベルト履帯。タミヤ箱にあたって兵隊とアクセサリーのグレーの小ランナー2枚と砲塔ライト用のクリアシールが追加された。デカールはイタレリ箱とは異なるものが付属する。

インストには書いていないがサイドスカートはフルカバーのもとの前後フェンダー部分のみの2種類がランナーに含まれている。

イタレリ名作と言えどやはり古いキットなので車体の隙間など合いの悪い部分もあるし押しピン跡が目立つパーツもあるので美しく作ろうとするならそれなりに手間がかかる。また車体後部のエキゾーストが省略されているなど問題点もまだ残っている。

本体ランナー付属の英兵3体は今の基準では使い物にならないが、タミヤ製のおまけランナーに付く戦車兵とアクセサリーは新しく良く出来ている。

デカールとマーキングはチュニジアの2種類のみ。

 

 

 ・総評

過去これしかないで選択してきたキットではあるが、改修されて未だに通用する水準なのも確か。唯一の同車種製品であるボーダーモデル製がイタレリ製を過去のものにするか?についてはボーダーのを組み立ててから再記したいところ。

マーキングが少なく単色の塗装例しかインストに示されてない点が個人的にはかなり不満ではあるが、価格の手頃さや組み立ての容易さから言えばまだまだ現役と言えるキットなんではないでしょうか。

 

 

トランペッター 00327 陸上自衛隊 87式偵察警戒車


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1/35 Trumpeter 00327 JGSDF Type 87 Recon Vehicle

 

 ・解説

2005年発売。1/35の87式警戒偵察車としては唯一のキットとなる貴重なアイテムだが、同金型のパッケージ替えがピットロードからも出ている。

確かピットロード企画の製品でトランペッターが製造担当だったかと思う。

トランペッター版は極めて安いが、ピットロード版は新規デカールが追加されておりマーキングや塗装例が豊富な説明書になっている。社外エッチングパーツ同梱版もある。

87年から13年度まで長期の調達が行われた本車の細部にはかなりバリエーションがあるが、本キットでは比較的初期の仕様を再現しているらしい。詳しくないので全くわからない。スマン。

 

 ・構成

車体下部、車体上部、砲塔の個別パーツ、2枚の本体用ランナーと2枚の兵隊ランナー。金属シャフト4本とPET板、エッチングパーツとデカールが各一枚。そして牽引ワイヤー用のタコ糸が付属する。

タイヤはプラ製貼り合わせの金属シャフト通しでステアリングは出来ないが、車軸の基部はプラパーツで構成されておりシャフトが見える事はない。

エッチングパーツはフロントフェンダーとマッドガードとナンバープレート用であり、繊細な表現を要するライトガードやエンジングリルのものは含まれない。

特にライトガードはキットパーツのルーバーが太く見栄えにかなり影響するためエッチングが欲しいというのが正直なところだ。

ライトレンズなどのクリアパーツは無く、ガイド付きのPET板をデザインナイフなどで切り出してペリスコープを表現する。すり合わせが必要なので現物合わせでヤスリを当てながら挿し込んでいく事になるだろう。

おまけとして陸自隊員の乗員2名と普通科3名のフィギュアが付くが、この時期の陸自製品共通ランナーなので他の車種にも同じものが含まれている。出来は可もなく不可もなく程度ではあるが陸自隊員のフィギュアは貴重みもある。

 

 ・総評

トランペッターが良くなって以降のキットなので、精度も再現性もそこそこ良く然程手間はかかならいが、車体ハッチのスジボリが浅く彫り直しや、車体の面をキッチリ出していくならパテ加工は必須であり、ヒケや金型の荒れもあるので目立つところは加工しながら進めて行きたい。

87式RCV唯一のキットと言うこともありこの車種に興味があるなら選択肢としてはコレ一つになるが、ライトガードなど繊細な部分にエッチングを施す事により仕上がりは顕著に改善されるので思い入れのある人はライオンロア製エッチングパーツ同梱のピットロード版が良いだろう。トランペッター版では2種しかないマーキングもなんと18種になるという充実ぶり。

取り敢ず陸自車両並べたい程度の感情であればトランペッター版でもアリだが、それでもぶっといライトガードだけは加工してやりたい所。

タミヤ 35156 アメリカ M1A1 ビッグガン・エイブラムス

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1/35 TAMIYA Military Miniature Series 35156 U.S. M1A1 Abrams 120mm GUN Main Battle Tank

 

  • 概要

1992年発売のキットだが、元は1982年発売のM-1エイブラムス戦車(35124)の金型を改修し、湾岸戦争を契機にしてリニューアルされたもの。そのため前製品との区別として強化された120mm滑腔砲が製品名として主張されている。

急遽金型改修してリリースされたためか、実のところ再現度という意味では多く問題を抱えている。車体は元のM1からディテールを引き継いでいるし、砲塔もキューポラ付近の密度に対して防盾周りなどで再現が甘く、履帯の選択など湾岸戦争において一般的な仕様とは言い難い構成になっている。

制作にはプラスドライバーが必須。

 

  • 構成

ダークイエローのランナー5枚とサスの付いたバスタブシャシー、ポリ製履帯とPETシート、ビス一組にナイロンメッシュとデカールが付属。

履帯はポリ製熱溶着ベルト式(T156)で、砲身は左右貼り合わせ+砲口パーツ、ペリスコープの窓用にPET樹脂のクリアシートが用意されている。シャシーは元のM1がモーターライズだったこともあり穴が空いている。成形はタミヤらしくシャープでカッチリした今に通じるモールドで、タミヤの技術が頂点だった時期を感じさせるものだ。合いは一部分を除いていわゆるバチピタであり、当時はバンダイよりも優れた成形技術を持っていたことがわかる。だがところどころに押し出しピン跡が存在する。

転輪のパーティングラインはそれほど処理には苦労しない。さくさくと車体に取付けベルト履帯を張るが調整は不必要。だが上部転輪はそのままガイドの穴にはめるとおかしな位置になってしまう。ピンを削ぎ落とすよう指示があるので見落とさないよう正確な位置に付ける。ハルの貼り合わせでできる隙間は小さいが、砲塔の貼り合わせは盛大に隙間ができるのでせめて正面から目立つ防盾基部あたりはきちんとパテ埋めしたい。またスモークディスチャージャー基部が適当なため固定しにくい。後部バスルラックのネットはナイロンメッシュを説明書のサイズに切り抜く必要がある。これらの点を除けばサクサク進められるストレスの少ないキットだ。

砲身基部の可動部固定には同梱のビスとナットを使う。トイとしての稼働強度を保つための処置だが、スケールモデル視点で見ると硬すぎても困るので微妙な仕様となる。よく行き過ぎた一体化成形やディテールの省略を指摘されるタミヤだが、自衛隊車両や有名戦車なんてのはトイとしての側面も捨てきれないので仕方ないのかもしれない。

 

  • マーキング

アメリカ陸軍 第一機甲師団(デザートカラー) 2種

アメリカ陸軍 第三機甲師団NATO迷彩) 2種

 

  • 総評

安くておっきくて組み立て簡単という旧来のプラモデルらしい魅力があり、初心者にも勧められる出来の良さが備わる良キット。考証やディテールの詰めの甘さなどは後発のM1A2イラク戦仕様では概ね改善されているため、気になるならそちらを選べば良いとも言える。モデラー的には改良版を選べば良いし、ライト層が気軽に取り組むにはこちらでも良いだろう。つまり棲み分けだね。ただ説明書の塗装図が簡略されていてマーキングが説明不足なのは改善して欲しいところ。 

ドラゴン 3516 M1A1エイブラムス w/マインプラウ 「砂漠の嵐作戦」

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1/35 Dragon Modern AFV Series 3516 M1A1 w/Mine Plough 'Desert Storm'

 

  • 概要

1992年発売のキット。湾岸戦争当時に発売されたドラゴン最初のエイブラムスで、地雷処理装置を追加した湾岸戦争仕様の車両をキット化したもの。当時ドラゴンは駆け出しのメーカーで現用車両を中心にキット化しており、奇しくも湾岸戦争が起きて世間の需要が掘り起こされ脚光を浴びた時期の製品だ。先んじてM1をキット化していたタミヤとの競作となったが、タミヤが初期型M1から引き継いだT156履帯を履いているのに対し、こちらはより一般的なT158履帯となっている。

後の2006年にドラゴンは3535番でM1A1をリニューアルしたが、その後2012年にサイバーホビーでリリースした9141番はこのキットを元にしている。

 

  • 構成

ライトグレーのランナーが9枚とシャーシパーツに金属チェーンとデカールが付属する。履帯はプラ製部分分割式(T158)で砲身は左右貼り合わせ。バリやヒケはそれなりに多く合いが悪い、履帯裏にピン跡が目立つなど、初期ドラゴンらしい意欲は高いが技術が追いついていない典型的なキットだ。

 

車体上面と砲塔天板には梨地のモールドが施されており、砲塔内部は部分的にインテリアが再現されている。車体後部にAPUが増設されているタイプで、サイドスカートは片面3パーツに分割されている。防盾基部の砲塔下面に隙間ができる(タミヤもだが)ため、ここは手間でもパテ埋めして均しておきたい。砲塔側面のバーはバリもありはめ込みにくく、無理をすると折れる。折れた。ため摺り合わせまたは妥協が必要。後部バスルラックには盛大に合わせ目が来ていて、ラック底面のネットに使用するメッシュなども付属していないため工夫が必要。

ここまでボロクソだが同時期のタミヤと比べると優れた部分も多々あり、特に砲塔ディテールの再現度に関してはタミヤより正確で下手な省略もないため、細部をキチンと仕上げるならドラゴンのほうがより見栄えのする完成品が期待できる。より完成度の高い製品が出た今となってはだからどうした、という程度の話ではあるが。古いなりに手のかかるキットだが手を入れれば応えてくれる素材のようなものである。

 

  • マーキング

アメリカ陸軍第一機甲師団

アメリカ陸軍第二機甲師団

 

  • 総評

エイブラムスというのはかなり売れ線のキットらしい。現役最強で華々しい戦果もあればアップデートもありフルカラー写真があるとなれば人気があるのも頷ける。タミヤは進化系を追ってキット化しているし、ドラゴンでは自社でリニューアルもしている。最近ではモンモデルやライフィールドモデルで競作になるなど、後年になればベストキットは更新されていくだろう。それ故このキットは最早用済みという認識でも良いのだが、9000円もする最新キットを買うファンがどれほどいるのかと言うことも踏まえて、安くてイージーなタミヤと手が掛かるが捨て値かつよく再現されたドラゴン旧キットも無価値ではない。手がかかるが結構リアルなキットと評価できるだろう。

 

タミヤ 32518 1/48 ドイツIV号戦車J型

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1/48 TAMIYA Military Miniature Series 32518 German Panzerkampfwagen IV ausf.J Sd.Kfz.161/2

 

  • 概要

2005年発売の1/48ミリタリーミニチュアシリーズのNo.18のキット。

タミヤが2003年にリリースしたMMの新シリーズで、同スケールの航空機と合わせられる他コンパクトでコレクションに向いたサイズや低価格がウリのラインナップだ。

普段は1/35スケールに注力しているものの、ここ数年の高額化や過度なパーツ分割で骨の折れるキットが目白押しだったため気分転換を兼ねて一度組んでみたかったのだ。

この頃のシリーズはシャーシがダイキャストの一体成型となっており、組み立てには瞬間接着剤が必須となる。他にもハル固定用のビスがあるためプラスドライバーと一部穴あけのためにピンバイスも必要という、やや特殊なキットだ。

 

製品はJ型となっているが、転輪の数はおろかマフラーやベンチレーターもH型のままで、変更点と言えば車体後部の補助エンジンの撤去と砲塔上部の近接防御兵器の追加とアイドラーホイールが従来のものと鋳造型が選択できるくらい。

つまりJ型と言っても1944年6月~7月あたりまでの初期生産型しか作れない仕様になっている。

 

  • 構成

ダークイエローのランナーが5枚にダイキャスト製シャーシ、ポリキャップとビス2本にデカールの内容。エッチングやクリアパーツは付属しない。

車体シュルツェンは付属せず、プラ板を切って作る手順が別紙に書かれてある。昔のMMのノリだなぁ。

履帯はプラ製部分分割式(40cm後期型)、砲身は一体成型+マズルブレーキのみ分割というインジェクションでのツボを抑えた分割で、パーツそのものは細かいものの手間のかかる部分は一体成型が進んでいる。

モールドは良好でタミヤらしいキレのある成形だが合いの悪い箇所がないわけではない。1/35MMとは思想の異なる分割になっていて、組み立てのノウハウは変わる。

 

まず車体下部はダイキャストシャーシに転輪を付けていくが、お馴染みのパーティングラインがある。センターより外側に位置し突起も浅いためナイフで削っていけば比較的容易に処理できるしさほど目立たないのでスルーしても良いだろう。部分分割履帯はキレイにモールドされパーティングラインもあまり目立たないが、ゲートの一部が履帯の接続部に来ているためキチンと処理しないと組み付けで難儀するので手を入れておきたい。軌道輪のみポリキャップ接続になっており、一体成型の履帯を活かせばロコ組みがやりやすくなっている。スケールの小ささ故にフェンダーとのクリアランスが極めて少ないため、履帯の塗装を考えると外せるようにしておいたほうが良いだろう。

車体上部には細かいOVMが並び、場所によってはイモ付け接着を要求される。シュルツェンステーを設置する場合はフェンダーの一部をナイフで削ぐ必要があり一手間かかる。

車体上面はダイキャストシャーシと2点のビス止めで接続するようになっており、ビス頭は分割されたパネルで隠すように組み立てる。

砲塔はよく考慮された分割で、パーツ数は多いものの合わせ目が目立ちにくい構成になっており砲塔シュルツェンの上部は薄く成形されているため見た目の仕上がりも良好。ベンチレーターに隣接する近接防御兵器を装着する場合は天板に穴を開ける必要がある。

 

  • マーキング

723号車 ノルマンディ

806号車 フランス

1032号車

 

  • 総評

このキットで感心する点は合わせ目処理の少なさで、マフラーとマズルブレーキ、車体後部の3点以外には合わせ目が来ないようになっている。パーティングラインの小ささも相まって成形にかかる手間が極力廃されているのは新しいトレンドと言えるだろう。

タミヤ秘伝の押しピン跡はやはり気がかりだが、1/35よりは致命的な位置に来ていないのでそこは完成度と相談しよう。シュルツェンが無かったり中期型以降は再現できないなどの制約はあるがプラモデルとしてはよく出来ており、パーツの細かさ故に難儀する場面もあるとは言えスケールの割に精密な仕上がりはなかなか魅力的だ。やはり直管マフラーなど中期型以降のパーツも同梱して欲しいとは思うが。

 

1/48MMの評価として、サイズの割に細かい分割が多く組み立ての工数は1/35MMとそこまで変わらないが、サイズや価格の割にディテールは繊細な本格的なキットでもある。反面パーツの接着には無理が生じていて、ピンセットや流し込み接着剤無しでは組み立てに難儀するだろうし、老眼待ったなしの旧MMファンが作るにはそれなりの苦労も想像できる。

なんだかんだ言って、それなりのツールを揃える必要があったりパーツの細かさを考慮すれば初心者には向かないキットだと思う。初心者向けの戦車プラモはあくまでも1/35MMシリーズで、こちらは普段ガンプラなど他ジャンルをメインに据える人が手を出したり、心得はあるが諸事情で大きいモデルが触れない人向けなのかな。製作時に場所を取らなかったり、完成後の保管場所が気楽だったりするあたりはガチじゃない人には丁度良さそう。模型が好きだけど場所が確保できない人なんかや情景志向の人にはなかなか魅力的なシリーズではないかな。ガンプラで言うとHGUCみたいな手頃感があって、制作はHGほどイージーではないけどノリで買える価格と勢いで作って手近に飾れる気楽さは難易度より遥かに重要なファクターだと思う。

 

子供の遊びを卒業できないおじさんの見る夢

今週のお題「卒業」

 

今しがた、はてブロを始めた。はてな入学である。

きっとこのまま1年も持たずに更新は途切れ、留年することまで折り込み済みだ。

なにせ、このブログは作ったプラモデルの感想を書くというただの備忘録だもんで。

無論こんなメモ帳みたいなモンどこで書いてもいいのだけれど、アメブロで始めたらいきなり更新できなくなる不具合に見舞われ、いそいそと移転してきたわけだ。

 

せっかくはてなに来たんだから、なんだかそれっぽいテキストでも書いてみよう。

 

「あんたガンダムいつ卒業すんの?」

「いい加減子供の遊びは卒業したら?」

 

という近親者からの脅迫。

「プラモデルは子供の遊び」というレッテルが趣味者には永遠に付き纏う。

だがファミコンが登場して以降、プラモデルは子供の遊びの主役から転げ落ち衰退の一途を辿っているように見える。私の子供時分でも精々がBB戦士やミニ四駆を小学生が作っていた程度で、大真面目に作っている奴なんて見たことも無かった。

実のところ、プラモデルが子供の遊びとして認知されていた時期はプラモデルが登場した60年代から80年代末頃までの20~30年にすぎない。

ガンプラというキラーコンテンツは95年からまた勢いを加速させるが、メイン顧客はあくまでも初代ガンダム放映時の子どもたちへ向けてである。

その頃に若き日を過ごした、おじさん軍団が辛うじて今のプラモデル業界を支えている。

 

なんだおじさんばっかじゃん。

 

現実は非情にもおじさんばかりが熱中しているし、そのおじさんたちも既に老眼に苦しんでいる有様である。

おじさんたちにはファミコンなどという魔法の箱もなければ、ネットという無限の空間も無かった。おじさんたちは限られたTVアニメや映画などを礎にして想像力を働かせた。それをカタチにできるものがプラモデルだったという話だ。

プラモおじさんたちが未だに子供の頃の遊びを辞められないのはなぜだろうか。

懐古主義か?

それもあるが、おじさんたちには未だ醒めない夢があったんだ。

 

「もっと、精密で本格的なプラモデルが欲しい」

「あんな戦車や、こんな飛行機のプラモデルも欲しい」

 

そんな事を夢想していた子どもたちが大勢居たのは想像に難くない。

そしておじさんたちが夢見た明るい21世紀なんてものは来なかったが、今世紀のパソコンとインターネットの普及はプラモデルの開発と流通を爆発的に進化させた。

 

昔通った模型店が次々と廃業していく切なさを味わいながら、昔作ったプラモデルを手に取り懐かしさに浸る。単なる懐古主義ならここまでで終わる話なのだが、この先にはおじさんたちの夢の続きがあった。

プラモデルはいつの間にか遥かに精密でリアルになり、聞いたこともない戦車やプラモデルメーカーが山のように出来ていた。

それはもう飽食とも言えるほどのラインナップで、昔では考えられなかったスピードでプラモデルの世界はアクティブに動いている。

だからおじさんたちは一度卒業したはずの夢の追走を今やっているだけである。

 

夢を掴んだ大人たちの遊びは果たして子供の遊びの焼き直しだろうか?

決してそうではなく、たった60年前に始まった文化がやっと大人の要求に応えられる趣味として成熟したのだと私は思う。