ドラゴン 3516 M1A1エイブラムス w/マインプラウ 「砂漠の嵐作戦」

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1/35 Dragon Modern AFV Series 3516 M1A1 w/Mine Plough 'Desert Storm'

 

  • 概要

1992年発売のキット。湾岸戦争当時に発売されたドラゴン最初のエイブラムスで、地雷処理装置を追加した湾岸戦争仕様の車両をキット化したもの。当時ドラゴンは駆け出しのメーカーで現用車両を中心にキット化しており、奇しくも湾岸戦争が起きて世間の需要が掘り起こされ脚光を浴びた時期の製品だ。先んじてM1をキット化していたタミヤとの競作となったが、タミヤが初期型M1から引き継いだT156履帯を履いているのに対し、こちらはより一般的なT158履帯となっている。

後の2006年にドラゴンは3535番でM1A1をリニューアルしたが、その後2012年にサイバーホビーでリリースした9141番はこのキットを元にしている。

 

  • 構成

ライトグレーのランナーが9枚とシャーシパーツに金属チェーンとデカールが付属する。履帯はプラ製部分分割式(T158)で砲身は左右貼り合わせ。バリやヒケはそれなりに多く合いが悪い、履帯裏にピン跡が目立つなど、初期ドラゴンらしい意欲は高いが技術が追いついていない典型的なキットだ。

 

車体上面と砲塔天板には梨地のモールドが施されており、砲塔内部は部分的にインテリアが再現されている。車体後部にAPUが増設されているタイプで、サイドスカートは片面3パーツに分割されている。防盾基部の砲塔下面に隙間ができる(タミヤもだが)ため、ここは手間でもパテ埋めして均しておきたい。砲塔側面のバーはバリもありはめ込みにくく、無理をすると折れる。折れた。ため摺り合わせまたは妥協が必要。後部バスルラックには盛大に合わせ目が来ていて、ラック底面のネットに使用するメッシュなども付属していないため工夫が必要。

ここまでボロクソだが同時期のタミヤと比べると優れた部分も多々あり、特に砲塔ディテールの再現度に関してはタミヤより正確で下手な省略もないため、細部をキチンと仕上げるならドラゴンのほうがより見栄えのする完成品が期待できる。より完成度の高い製品が出た今となってはだからどうした、という程度の話ではあるが。古いなりに手のかかるキットだが手を入れれば応えてくれる素材のようなものである。

 

  • マーキング

アメリカ陸軍第一機甲師団

アメリカ陸軍第二機甲師団

 

  • 総評

エイブラムスというのはかなり売れ線のキットらしい。現役最強で華々しい戦果もあればアップデートもありフルカラー写真があるとなれば人気があるのも頷ける。タミヤは進化系を追ってキット化しているし、ドラゴンでは自社でリニューアルもしている。最近ではモンモデルやライフィールドモデルで競作になるなど、後年になればベストキットは更新されていくだろう。それ故このキットは最早用済みという認識でも良いのだが、9000円もする最新キットを買うファンがどれほどいるのかと言うことも踏まえて、安くてイージーなタミヤと手が掛かるが捨て値かつよく再現されたドラゴン旧キットも無価値ではない。手がかかるが結構リアルなキットと評価できるだろう。